ChatGPTという生成AIの登場により、ビジネスの現場では激震ともいえるほど大きな変革が起きようとしています。しかし具体的にどのようにChatGPTを活用すればよいのか、まだ明確なビジョンを持てていない方も多いのではないでしょうか。未だに変革の波すら感じられない人もいるでしょう。
そんな中【堀江貴文のChatGPT大全】は、すでに18人の先駆者たちが活用している様子をうかがい知ることができます。なので賢い利用方法のヒントを盗み出せる、ビジネスパーソンにとって待望の一冊と言えます。本書【堀江貴文のChatGPT大全】の要約、解説していきます。
本書はスマホでも利用可能になったChatGPT-4oの出現前のものです。けれども、生成AIを活用する原理原則といえる「本質の輝き」は失われていません。安心してご鑑賞ください。
【堀江貴文のChatGPT大全】
が提供する価値
【堀江貴文のChatGPT大全】では、著者をはじめとする多様な18人の専門家が、ChatGPTの可能性と具体的な活用法を紹介しています。本書から得られる主な価値は以下の3点▼
- 各分野のトッププロフェッショナルによる独自の活用法
- 壁打ちやアイデア発想など、実践的な使い方の指南
- 触れる前と触れた後の変化の差を体感できる
ChatGPTとは何か
ChatGPTは、人工知能が人間のような自然な文章でユーザーと会話するサービスです。ユーザーが質問をすると、ChatGPTは適切な回答を生成します。私も初めて触れた時「人間みたいな反応するなんて……ありえない!」と衝撃を受けました。
会話以外でも、プログラムを組むなど、多岐にわたった使い道があります。
- 文章生成
- 画像生成
- 動画生成
- 音声生成
本書でも、文章要約といった単純作業はもとより、アイデア出しの壁打ちといったChatGPTが見せる非常に多彩な姿や、すでに実現していること、これから人類にもたらすであろう可能性の示唆が幅広く取り上げられています。
堀江貴文を中心としてビジネスの場、テクノロジーの場の最前線で活躍している面々がどのようにChatGPTを駆使しているのかを率直につづっていることから、今まで「名前は聞いたことあるけど使ったことがない」人であっても、一歩を踏み出してみようと思えるような魅力的な内容が詰まっています。
本書が特に役立つ読者層
生成AIの世界に興味のあるあなた以外の、本書が役立つ読者層も提示しておきます。
- ChatGPTやAI技術に興味があり、基本から応用まで学びたい方
- ビジネスや仕事でChatGPTを活用し、効率化やイノベーションを目指す方
- 堀江貴文や他の専門家の視点から、ChatGPTの可能性を探求したい方
ChatGPTがもたらす変革
帯文で「ChatGPTは『令和の神器』だ!」と謳っている通り、外国語の翻訳や議事録の要約といった日常こなしている業務の作業時間がかなり短縮されるだけでなく、日常のあらゆる領域で活用するチャンスは眠っています。ChatGPTを筆頭にした生成AIブームは、いよいよAIは人間に比肩しうる、まさに「知能」を手にしたと表現できるブレイクスルー到来です。
AIが人間を超える特異点「シンギュラリティ」はこれまで2045年に起こると予測されていますが、ホリエモンらしく「今やらないヤツはバカ」と表現するように、ChatGPTの活用は待ったなしの状況と言えるでしょう。
著者が強く伝えたいこと
本書を通じて、堀江貴文は「人間はより創造的なことに専念すべき」というメッセージを強調しています。ChatGPTを単なる効率化のツールではなく、人間の創造性を引き出すパートナーとして活用することの重要性を訴えています。
よく聞く脅威論として「AIと人類との競争」はありますけれど、「生成AIとの共存と共創」があるべき姿だというメッセージを感じられました。
内容が薄いと感じる
人に向けての意見
本書のポイントを解説する前に、読者レビューで「中身が薄い」と感じた人もいたことに触れておきます。すでにChatGPTを相当使いこなしている人と存じます。それか、情報のうわべだけしか見ていないかもしれません。
【堀江貴文のChatGPT大全】の想定読者は、未経験者から中級利用者と判断。中級利用者とするのは、経営者、医師、政治家、AI専門家…といった18人の先行利用者の「何に」注目して使っているかの本質を学べるからです。
カルピスは薄めた方が
美味しいという皮肉な理論
たしかに本書が伝えたい内容の本質は、頭使わないと見逃してしまいます。ここで【堀江貴文のChatGPT大全】内でも紹介されている「カルピスは薄めた方が美味しい」という、皮肉な理論を引用しておきましょう。
先日、私の note 有料コンテンツに課金したのに、内容が数行しかなかったというクレームがあった。 確かに、パソコン画面上で見たら数行だった。普段私はスマホで文章を書いていることもあり、なるべく端的に書くようにしているのだが、文章量で満足感を得る層もいるのだと考えると、問題を野放しにもできない。
ここでChatGPTを使う。ChatGPTは、与えられたテ ーマに基づいて、素早く詳細な文章を作成することができるため、内容を変えずに文章の量を増やすことが可能だ。
副益もあった。そもそも一部の読者にとって、私の文章は「濃すぎた」らしく、薄めることで価値は下がらず、 逆に「読みやすくなった」と喜ばれたのだ。
カルビスも原液では飲めない。 ChatGPTを使って読者に合わせた形の情報提供ができれば、より大きな価値を提供できる好例だろう(本書も「薄めて」提供している)。
引用元:Amazonより
ホリエモンらしい毒のある意見、どう感じましたか?
本書のポイント
- 多岐にわたる専門家による独自のChatGPT活用法の紹介
- 壁打ちやアイデア生成など、実践的な使い方の提示と意図が学べる
- 本作購入者限定の動画コンテンツやリアル塾など、学びを深める特典
先駆者たちのChatGPT活用事例
使い方の例も3つ紹介しておきましょう。
AIは疲れないから、絶対に
嫌な顔をしない「他者」として使える
アイデア出しに言葉を投げかける「壁打ち」に疲れることなく対応してくれるのが大きな利点として挙げる、ビジネスインフルエンサーの田端信太郎の意見には、記事著者の私も同感。
想像してください。あなたが子供の「なんで○○なの」という、いつ終わることのない質問に付き合うのは疲れるでしょう。けれどChatGPTは疲れることなくいつまでも付き合ってくれる、健気さを感じさせてくれますよ。
もうひとつ、人間同士なら相手の顔色をうかがって正直な意見が言えないもの。けれどChatGPTは気遣いなく真っすぐな意見を言うので、「マジレス」のありがたさを感じられるというのも、面白い指摘でした。
初心者向けのセミナーでも
ChatGPTを画面に
出すだけで反応が得られる
初心者向けのセミナーでも、何を伝えようと考えるよりは、ChatGPTを画面に出して挙動を見せるだけで会場は「おおっ」と感心される使い方もあると、AmbitiousAI株式会社CTOであるプロンプトアーティストの林駿甫(ハヤシ シュンスケ)は語っています。どんな使い方ができるか実際に見せて反応を探るというのは、賢いプレゼン方法といえます。
ChatGPTは文字入力以外にも、音声入力できる利点がありがたいとも主張。ChatGPTに対する指示をプロンプト(生成AIへ指示を出して高品質な回答を得る文章のこと)の書式通りにコピーする必要はなく、最初は自分の頭に浮かぶ言葉で、優れたパートナーであるChatGPTに対話するように伝えるべきだと。
なぜなら、文字化すると、文字にする前の考えや思いが抜け落ちてしまうからという理由です。きれいな言葉にできない粗い思いを声にして、理論整然とする前に出力する大切さを教われました。
人間相手に相談よりも
AI相手の方がむしろ正直になれる
人間相手だと言えないことも言えちゃうという事実を知ることになります。パーソナライズ婚活サービス「ヒトオシ」を展開する、Persol代表の伊藤早紀の意見も面白かったですね。
なぜかAIには自分の思っていることを人間以上に伝えやすく、意見も聞きやすいとう指摘があります。婚活サービスに活用している事例があるなら、AIの占い師のサービスも展開できるんじゃないかと私は連想できました。
このように、18人の先行利用者の声を聴くことで、同じように挑戦するもよし、応用するアイデアのヒントを得ることもできますよ。
ただのプロンプト集ではない!
生成AIの活用の本質を知るのが目的
特典について言及した3.にはプロンプト(ChatGPTに指示を出す命令文のこと。呪文と表現する人も)も紹介されていますけど、本書【堀江貴文のChatGPT大全】はプロンプト集ではありません。プロンプトだけ興味を持って近付いては学びがないと勘違いしてしまします。そういった奴は、あとで痛い目に会いますよ。
理由はプロンプトばかり探っている人間は、「なぜこの使い方をしているのか」という本質に気付けないから。プロンプトだけに固執していては、AIの競争に負けてしまいます。
プロンプトだけほしい、情報商材ジプシーともいえる人間は、地頭が弱いことを意識すべきですね。応用の効かない人材は、淘汰される運命が待っていますもの。
本書で触れられていない、
Excel普及前の話で
淘汰された人の教訓
ChatGPTに関係すると感じる、本書には書いていない、当記事著者が教わった教訓となる話をします。
生成AIなんて存在しない、Excelすら普及していない頃。日本を代表する超大企業の経理に配属された方のお話です。Aさんとしましょう。配属先が経理なので、入社早々に電卓でお金の計算をしようとしたら「お前何やってんだ!」の大先輩からの声。
「電卓なんて使うな。使うならコレにしろ」と出したのはそろばんです。「だまされたと思って使え。こんなに計算の早い道具はないから」と言うじゃないですか。
大企業の経理担当の人って、全国珠算大会で優勝する人ばかり。そんな中にそろばん未経験者のAさんを配属させた会社の方針もどうかと思うのですけれど、大先輩の指摘なのでやむなく仕事終わりに、小学生に交じってそろばん塾で半年間勉強しました。半年頑張って訓練して、そろばんを使ってわかったのは「絶対計算機が早い!」という結論。
その後、Excelのような表計算ソフトの普及が当たり前になったので、そろばんの利用価値も大きく下がってしまいました。Aさんは会社を退社されたので、経理部の大先輩がどうなったのかは知りません。けれど、大先輩もそろばんに固執できなくなったのは想像に難しくないでしょう。
そろばんの話の教訓として、便利なツールは普及するのが当然。そろばんだって大昔は、圧倒的に計算の早くなる便利な道具だったのですから。時代の経過で、もっと凄いツールが出現したら使えばいいだけの話。早いうちから使っておいてマスターすれば、生き残れる人材になれますよ。怖い怖いと距離をとるのでなく、触れてみてから使えるかどうか判断すればいいだけです。
はじめて挑戦する不安や躊躇を感じるのは当然。だからこそChatGPT利用先駆者たちの歩みを知ることができる本書を学ぶべきです。学ぶことで失敗の可能性を大幅に減らしてくれますから。
おわりに
【堀江貴文のChatGPT大全】は、ビジネスパーソンがChatGPTを活用し、新たな可能性を切り拓くための入門書です。本書を通じて、ChatGPTがもたらす変革の波を味方につけ、ビジネスの現場で成果を上げていくヒントを得ることができるでしょう。
ホリエモンらしく「今やらないヤツはバカ」とケツを叩いてくれています。怖がって触っていないよりも、新しいことに先陣を切って挑戦する人=ファーストペンギンの後を追いかけるだけでも価値ある情報を誰よりも入手できますよ。
記事著者の私もChatGPT利用者のひとり。スプレッドシートの要約などで時短が実現しているため「使えるツール」として強く実感し、重宝しています。利用者から言わせてもらえば、「今やらないヤツはバカ」とまでは言わなくとも、間違いなく【やらなきゃ損】と感じていますから。
プロンプト集を読む前に、【堀江貴文のChatGPT大全】を学んで、どのように自分の分野で活用できるか考えるのがAI利用上達のコツ。本書が伝える利用意図の本質に触れましょう。