部下の面談を形式的にやり過ごすのでなく、学びや成長の場にできるヒントや秘訣が本書のなかにあります。
【ヤフーの1on1部下を成長させるコミュニケーションの技法】で、一対一の面談の時間を、タイパ良く指導の機会に変えられますよ。以下に本書の骨子を要約しておきます。
本書の要点
- 要点1.1on1の目的は、社員の経験学習を促進し、社員の才能と情熱を解き放つことである。
- 要点2.1on1は上司と部下のコミュニケーションをとるきっかけになっている。
- 要点3.1on1の効果を高めるには、アクティブリスニングとレコグニションで上司と部下との信頼関係を築き、コーチング、ティーチング、フィードバックを使い分けるとよい。
- 要点4.ヤフーでは、上司が1on1の技術を磨けるよう、1on1チェックやシャドーコーチング、社内コーチの養成などの工夫がなされている。
ヤフーの1on1
部下を成長させる
コミュニケーションの
技法の本書解説
【ヤフーの1on1部下を成長させるコミュニケーションの技法】は、上司と部下が1対1で対話する機会を設け、部下の成長を促すための手法が紹介されています。
1on1を通じて、部下の自己成長を促進し、才能と情熱を解き放つことができる手段があります。
本書を通じて、ヤフー株式会社の上級執行役員である著者の本間浩輔氏が、実際にビジネス現場で時間と労力をかけて築き上げた「1on1の知見」を、短期間で身につけることができます。
1on1のメリットは部下の成長を導ける
=使える部下が育つこと
1on1のメリットは「部下の成長を導けること」です。「成長した部下=使える人材」となりますね。
使える部下が欲しいなら、急がば回れを経験しないといけません。面倒でも1on1を実施することにより、部下の成長をうながすことができます。
1on1ミーティングを行うことで、コミュニケーションのきっかけをつくることができ、部下や現場の状況を把握することもできますから。
1on1の進め方には、上司と部下の信頼関係を構築すること、目的を明確にすること、上司部下ともに事前に準備すること、部下に十分に話してもらうこと、話した内容を報告、シェアして認識を合わせることが重要です。
本書は1on1の進め方や効果的なやり方について詳しく解説しています。また、1on1の実施企業の事例や参考図書も紹介されています。
【ヤフーの1on1部下を成長させるコミュニケーションの技法】は、部下の成長を促したい上司はもちろん、自己成長を目指す部下にもおすすめの一冊です。
本書は、上司と部下が定期的に行う1対1のミーティング(1on1)の目的や効果、実践方法などを解説しています。各セッションごとの要約は以下の通り。
1on1ミーティングの基本
1on1を実施するにあたって大事なことは、部下に充分話をしてもらうことです。
上司の役割はあくまで部下の学びの支援であるということ。
上司は、自分の考えやアドバイスを先に言わずに、部下の話を最後まで聞くことが求められます。その際には、ニュートラルな言い換えや質問を使って、部下の内省を促すとよいと指導しています。
ヤフーが1on1に取り組む
理由と効果について
1on1の目的は次の2つです。
1つ目は社員の経験学習を促進すること。
経験学習とは、職場での経験を学びに転換して、次の仕事経験に活かしていくという考え方を指します。
経験学習をうまく機能させるには、経験を学習に換える振り返り、すなわち1 on 1が欠かせません。
2つ目は社員の才能と情熱を解き放つこと。
1on1では、部下のやりたいことや得意なことを掘り下げて、それに沿った仕事の割り振りやキャリアプランを考えることができます。
自発的な社員にさせる効果を高めるのが、1on1の真の目的です。
以下に1on1の効果を高めるコミュニケーションの技法がどのようなものか、さわり程度でも解説します。
1on1の効果を高める
コミュニケーションの技法
1on1の効果を高めるには、上司と部下との信頼関係を築き、部下の成長を促すコミュニケーションの技法を使い分けるとよいと指摘しています。
1on1の効果を高める技法とは「アクティブリスニング」「レコグニション」「コーチング」「ティーチング」「フィードバック」です。
アクティブリスニング
アクティブリスニングとは、部下の話に集中して聞き、相手の気持ちや考えを理解しようとする姿勢のこと。
レコグニション
レコグニションとは、部下の成果や努力を認めて称賛すること。
コーチング
コーチングとは、部下に自分で考えて行動させること。
ティーチング
ティーチングとは、部下に必要な知識やスキルを教えること。
フィードバック
フィードバックとは、部下の行動や成果に対して、改善点や期待値を伝えることである。
1on1の技術を磨くための工夫
ヤフーでは、上司が1on1の技術を磨けるよう、いくつかの工夫がなされています。技術を磨くの工夫とは、「1on1チェック」「シャドーコーチング」「社内コーチの養成」など。
1on1チェック
1on1チェックとは、上司が部下との1on1の内容を記録し、それを人事部に提出すること。人事部は、その記録をもとに上司の1on1の技術を評価し、フィードバックを行う。
シャドーコーチング
シャドーコーチングとは、上司が部下との1on1に人事部の社員を同席させ、その場でアドバイスをもらうこと。
社内コーチの養成
社内コーチの養成とは、1on1の技術に優れた社員を社内コーチとして認定し、他の上司にコーチングを行わせること。
1on1ミーティングと
コーチングの違いは何?
1on1ミーティングとコーチングの違いは何ですか?と疑問に思うことがあるでしょう。コチラは本書では触れていないませんけれど、疑問にお応えするため簡単に回答します。
1on1ミーティングは、特定のメンバーとの個別面談のこと。このミーティングは、メンバーの課題を解決し、業務の遂行能力を向上させることを目的としています。本書ではさらに自発的な成長も導くことを目指しています。
コーチングは、メンバー自身が課題に対する答えを持っているという前提で接するアプローチ。コーチは質問を通じてメンバーの洞察を引き出し、自己認識を深めるサポートを提供します。
どちらの手法も、メンバーの成長とパフォーマンス向上に貢献しますけれど、目的が違っています。
読者の評価
すでに解説した内容と重複しますけど、読者の声を紹介しますね。
「ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法」の読者レビューだと、本書は1on1の意義や具体的な進め方について、ヤフーの実例をもとに分かりやすく解説した一冊だと高く評価されています。
特に、1on1の目的が部下の成長を促すことにあり、業務の進捗確認や悩み相談ではないことを明確にしている点が重要だと指摘されています。また、部下の考えを引き出すために傾聴し、上司から安易に答えを示さないといった1on1の進め方のコツも具体的に説明されており、実践的で読みやすいとの声があります。
一方で、1on1の導入には課題もあることが指摘されています。例えば、多忙な中で時間を確保することへの社内の反対意見や、上司に求められる高い傾聴スキルなどです。また、1on1だけでは心理的安全性は築けず、組織風土の改善と合わせて取り組む必要性についても言及されていました。
総じて、本書は部下の成長を後押しするマネジメントの在り方を学べる良書として、管理職に広くおすすめできる内容だと評されています。著者の経験に基づいた生の知見が随所に盛り込まれており、1on1の意義や進め方について腑に落ちる解説が多いとありました。
管理職としてのマネジメント力を高めたい人や、組織の生産性と創造性を高めるヒントを探している人には、学びの多い一冊と評価を下しています。
本書解説の最後に
部下を受け持つあなたは、指導方法に具体的なアドバイスが良いこととして、部下にあれこれ教えたくなるでしょう。けれども(あえて)相手の言い分を傾聴する、我慢する必要性を本書から学ぶことができます。
部下の成長を自発的に導きたいなら、面談で失敗しない「ヤフーの1on1方式」を実際に試すべきです。
まずは【ヤフーの1on1部下を成長させるコミュニケーションの技法】をトライすることも、あなた自身の成長に繋がりますよ。
部下の良さを引き出し成長させて、手がけた部下が奮闘して業績を高めさせる。指導したあなたの功績を、会社にアピールできますね。