コンサルトに
過大な幻想を抱かないこと

コンサルタントを雇おうかと考えている経営者に対して、現場の提言です。偏った意見かもしれないことの前提の内容とご了承ください。
コンサルタントは素晴らしい提案を出す方もおられます。
けれどもコンサルタントがいれば生産性が上がる、売上も上がる、何もかも全てうまくいくとは思わないことですよ。全ての面においてうまくいくなんてなりません。あなたを含む社員一同の努力も必要ですから。
繰り返します。私は従業員の立場であり、且つ偏った意見と理解したうえでお読みください。
2年間契約の
コンサルタントの思い出

平成時代の苦い経験談を。
どのような経緯で会社がお願いした方か分かりませんけれど、うちが採用していたコンサルタント。生産性を最低10%上げると言ってました。
最低10%上げるとは大きく出たなと感じましたけれど、言うとおりに最低10%上がるんなら(だから15%以上も向上するのでは……と皆の希望)と、月100万円の支払いで2年間契約でお願いしました。1ヵ月に1~2回、各2時間の意見交換の場を設けて、問題解決に向けて従業員たちは励みました。
……が、最終的には生産性7%up止まり。最低10%は引き上げるとコンサルタント自身が自慢げに喋っていたのに「結果7%」です。それなのに会社は毎月100万円払ってたんですね。
約束した結果を残せなかったので、もちろん契約更新はしないでお引き取り願いました。
実力のあるコンサルタントに出会えなかった失敗談でした。
ジェイ・エイブラハムや大前研一や神田昌典といった【凄い実力のあるコンサルタント】は現実にいます。けれど、高額なため気安く意見を伺うことは出来ないでしょう。凄い実力者は著書も手がけていることが多いので、コンサルタントを頼む前に本を読んだりオーディオブックで学んで「知のバージョンアップを図る」のが、問題解決の近道と思っています。
コンサルに不信感を抱く私の意見

10%向上と謳っていたのに実現しなかった一件があったため、私はコンサルタントという職種に不信案を抱いています。否定的意見に染まってしまいました。
例えば固定費を削減ということでリストラをすぐやるべき、みたいなことを言う奴なんてもう最低。今のチームを使ってどのように貢献できるか、限られたリソースをどのように活用して売り上げる、生産性を高める。
または痛みは伴うけれど新規事業への挑戦を促すなど、様々な提案は出来るはずです。そのような提案をせずにリストラをすれば、短期的に数字上は改善したようなごまかしで、成果を上げたからと金をもらうやつは「ただの詐欺師」です。
肩書だけのやつに金を払うぐらいだったら、今いる従業員を手厚くもてなすこと。実力のほどもわからない人間に払うくらいなら、会社のために汗水流す従業員にこそお金を使うべきです。
従業員の声は千金の値があることも
冒頭で伝えたように、今回は経営者に対しての提言。
なので幹部含む従業員が、何らかの会議で、どのようにして問題解決するか提案するかっていうような時に「会議も煮詰まり八方ふさがりが続いているから、ここはコンサルタントにお金払って問題解決のアイデアをいただいたらどうでしょう」みたいなことを気軽に言わないように!
コンサルタントに頼む前に、まず手始めに、経験の浅い若手であっても従業員の意見を聴き、自分たちで知恵を絞り出して問題を解決するべきですね。経験の浅い若手であっても意見を聴くべき理由は、まだ業界や企業の固定観念に囚われていない可能性が高いから。「何も分かっていないな」と思うようなこともたくさん言うでしょうけれど、我慢して聞くことで一粒の輝く意見に出会えるかもしれませんもの。
自分たちで改善できると信じて、意識を向けて集中するべきです。どうせ無理と考えてしまうと、無理の理由を見つけ出すようになってしまうので、出来ると思って問題解決に意識を向けましょう。

ちなみに、現場の意見交換やアイデア募集をかけたところ、生産性10%以上の改善に繋がりました(今までやってなかったことは反省しています)。
その事実があるので、まずは自分たちの脳に汗をかいているか自問自答すべきです。コンサル等のトップダウン式よりも、ボトルアップ式も取り入れた成功実話として紹介しました。
思考の外注化に
依存しすぎる危惧はありますか?
とはいえ、高額な報酬を頂戴しているコンサルタントに、何かしらのアイデアや物事の見え方を広げてくれる効果を期待したいのは当然です。コンサルタントを利用したい経営陣の悩みは「社員から革新的なアイデアや、売り上げを上げる施策案が出てこない!」でしょうから。
ではあなたに質問です。
「あなたはアイデア出していますか?」 → 「経営管理するのが自分の仕事であって、会社の発展に汗水流して働く一環に、アイデア出し等など的労働するのが社員だろ!」と反論したい気持ちはわかります。社員って指示待ちの生き物が多いんですから。
お金を指示待ち社員に使うよりも、結果を出すコンサルに使うことは、会社の発展に繋がる考えとして当然でしょう。
経営するご苦労はわかりますけど「思考の外注化に依存しすぎる危惧はありますか?」と注意喚起させていただきます。
- 意思決定の主体性が失われるリスク≫ コンサルタントは有益な知見を提供する職業ですが、最終的な意思決定は経営陣自身の責任。外部の提案に過度に依存すると、自社の独自性や判断力が弱まり、組織文化が希薄化するリスクがあります。
- 現場との乖離≫ 外部の視点は新鮮な場合がありますが、現場のリアルな課題や社員の感覚を十分に反映できない場合もあります。経営陣が自ら現場に耳を傾ける姿勢を失うと、提案が「机上の空論」になりやすいことも。
- 短期的最適化に偏る危険≫ コンサルタントは成果を短期間で示すことを求められるため、長期的なビジョンよりもリストラなど即効性のある施策に傾きがち。なので経営陣が自ら長期戦略を描き続けなければ、持続的成長が損なわれます。
- 組織の学習機会を奪う可能性≫ 思考を外注しすぎると、社員や幹部が「考える力」を鍛える機会を失います。結果、組織全体の知的資本が蓄積されず、外部依存が慢性化のおそれがあります。

最後に掲げた「組織の学習機会を奪う可能性 ≫ 外部依存が慢性化」こそ「経営管理するのが自分の仕事であって、会社の発展に汗水流して働く一環に、アイデア出し等など的労働するのが社員だろ!」の反論に結びつく、避けたいリスクじゃないですか?社員の成長する過程を奪う=会社の利益損失の可能性が高まりかねますから。
反対意見ばかり書き過ぎたので、使うべき理由も提示しておきます。
コンサルタントは自社の歩みを支える「補助輪」のような存在として使うべきであり、決して代わりに走ってくれる便利な人ではありません。外部からの知見は大変参考になる可能性を秘めていますが、一度だけでなくその都度自社の状況に合わせて解釈し直すことで、より大きな価値を生み出せるでしょう。
経営陣が自ら問いを立て、仮説を持ちながらコンサルタントの力を借りることで、提案は外部の意見ではなく、自分自身の意思として定着していくことが期待できます。社内での議論や検証を通じて「外部の知見を自分たちのものにする」姿勢を持つことが、組織の成長を支える大切な過程になるでしょう。
コンサルタントは「思考の外注先」ではなく「思考の触媒」として活用すべきと意見します。依存ではなく、主体的な選択と学習のためのパートナーとして位置づけることが、持続的な経営力の強化につながることと感じています。
現場を見ないコンサルタントは
見切りをつけるべき
何気に「コンサルタント」という響きに「憧れ」または「強い幻想」を持たない。それが一番大切ですね。素晴らしい問いかけと問題解決の答えを出すコンサルタントはおられます。けれども、中にはコミュニケーション能力だけが異常に高いだけのコミュ力モンスターに出会うかもしれません。
「問題解決のヒントは現場がある」ということで、前述している100万円を払っていたコンサルタントも、まず従業員たちから問題課題を出すことを終始やっている。会議で出てきた問題を、どのような解決するかっていうことをさせていました。
コンサルタント自体が問題を見つけ出して解決させてもしていませんし、たいして現場自体を見ていませんでしたから。現場で働いている人間にしか、問題解決の糸口は見いだせないかもしれません。
客観視を持って問題解決の気付きを与える仕事がコンサルタントなのでしょう。
けれど、高い対価を払ってまで使える存在かは、未だに疑問を感じています。以前の毎月100万円のコンサルタントが結果を出せなかっただっただけかもしれませんが、私の意見として記述しました。自己研鑽こそ、成果の近道と感じています。本コラム記事を読んだあなたは、引き続き当サイト「BizBookBeats」を周回して自己研鑽に励んできださい。